小泉今日子武道館公演で何が起ったかーー芸能記者によるYahoo!エキスパート記事が炎上した「本当の理由」を探る
みなさんの「初めて買ったCD」はなんですか。
親愛なるぷんぷん、GW挟んで2週間ぶりのご無沙汰、おこりんぼコンシェルジュの西澤です。楽しいGWをお過ごしでしたでしょうか。私といえば仕事仕事家事仕事というかつての権藤博のようなスケジューリングでありまして、さらに編集者というのは大体締め切りを「5月7日の朝」に設定する生き物です。これは彼ら彼女らからの「GWの間に全ての原稿の帳尻合わせとけよな」という圧。5月6日の夜のライターはみな「明けない夜はない」の逆「明けないで夜」と願っているはずです。
ということで、冒頭の「初めて買ったCD」。この質問、「無人島に何持っていく?」と同じくらい己の文化度を丸裸にされるようで震えちゃうよね。1976年生まれの私が買った最初のCD……というかカセットテープだったんですけど、小泉今日子の『Flapper』というアルバムでした。おばあちゃん家の近くの商店街にあったレコードショップで買いました。当時を思い起こすとそこまでKYON2に入れ上げてたというわけでもなかった気がするのですが、ジャケットの刈り上げショートカットが鮮烈で、当時赤とかピンクとかふりふりのスカートとかお人形とか「女子っぽい(とされていた)もの」を拒絶していた私にドンピシャでした。昔の私マジでムズい子。親大変だったな。
で、もちろん当時そんなこと知るよしもなかったのですが、Wikipediaによりますと「Flapper」とは「1920年代に欧米で流行したファッション、生活スタイルを好んだ『新しい』若い女性を指すスラング」で「それまで女性らしいとされてきた装いや行動様式ではなく、膝丈の短いスカート、ショートヘアのボブカット、ジャズ音楽などを好んで、濃いメイクアップで強い酒を飲み、性交渉、喫煙、ドライブを積極的に楽しむという、以前までの女性に求められてきた社会的、性的規範を軽視した女性たちを意味する」とのこと。言われてみたら、刈り上げショートもそうですし、『なんてったってアイドル』でアイドル自身がアイドルという存在をメタ的に表現したり、『anan』の連載で喫煙者であることを公表したり、小泉今日子は間違いなく芸能界における「Flapper」だったんだと思います。1985年の時点でどこまで自覚的だったかはわかりませんけども。
マジでムズい子だった私は、その後なかなか社会との折り合いがつけられないまま生育し、就職もできず、実家の飲み屋手伝いからよくわからんライターという仕事について、浮き草のような生活をしていました(現在進行形)。そんな私からしたら、アイドルからアーティスト、俳優へと活躍の場を広げ、サブカルチャーの寵児としてもてはやされる小泉今日子という人間は「なんだかんだで超うまくやってる大人」に見え、一方で自身が作り出したと言っても過言ではない「ぶりっこアイドル」という有刺鉄線の中で血を流しながらアイドルを続ける松田聖子に謎のシンパシーを感じていました。自分が生み出した「松田聖子」にとことん対峙することで、松田聖子ファンの人生を肯定してるんだな、この人は……と。郷ひろみと「生まれ変わったら結婚したい」という名言を残し破局し、その舌の根も乾かぬうちに神田正輝と結婚し、アメリカ進出企ててみたり、ジェフくんと不倫したり、逆セクハラで訴えられたり、離婚したり結婚したり。書き連ねるとKYON2よりだいぶぶっ飛んでるんですけど、どこかズッコケ要素があるというか、ここまでやって「ぶりっこアイドル」の看板を死守しているところにグッときちゃう。今でも聖子ちゃんを見るとときめくし、なぜか胸の奥がチクっと痛むのです。
このチクっとする痛みの理由は、たぶん「自分が誰かの人生をエンタメとして消費している」という罪悪感からくるものなんだと思います。そしてKYON2にあまりそういう痛みを感じないのは、KYON2という芸能界のflapperは、自分に対して固定的な観念を押し付けられそうになると、なんらかそこに決別のメッセージを送っている気がするのです。それが『なんてったってアイドル』だったり、喫煙公表だったり、学校法人森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で夫を亡くされた赤木雅子さんへの支援だったりするのでしょう。「私はこういう人間です」というメッセージ。そうしたファンとアイドルKYON2との間の「距離」のようなものが、ファンに消費の息苦しさを与えないのかもしれません。聖子ちゃんには「まねだ聖子」、中森明菜ちゃんには「生盛明菜」という代表的なモノマネタレントがおりますけども、KYON2にはこれといったそういうフォロワーが思い浮かばないんですよね。やっぱりKYON2って、真似しづらいというか、どこの部分を誇張していいかわからない存在なんだと思います。
さて、ここからが本題。ようやく辿り着きました。こちらの記事はみなさんご存知でしたでしょうか。
