阿部慎之助元監督の復帰を求める署名13万筆超は本当に阿部慎之助を「救おう」としているのか
親愛なるぷんぷんの皆様。おこりんぼコンシェルの西澤です。
長男は現在絶賛就職活動中。よその子とゴーヤは育つのが早いといいますが、うちの子もゴーヤでした。私は体の節々が痛くなったりシミやシワが増殖したり小さい文字が見えなくなったりすること以外なんら変わってないのに、昨日まで赤ちゃんだった子が今日スーツ着て説明会に出かけるような体感です。
浮草のような商売の母親を見ているからか、カタめな業種を希望している長男。「面接の受け答え聞いてほしい」と頼まれて、想定質問への回答を聞くわけですが、油断すると「◯◯っすね」「自分は~」という、いわゆる野球部敬語が顔をのぞかせる。
「ストッッップ!!」。私は元ミスインターナショナルディレクターイネス・リグロンぐらいデカい音で手を叩き、イネスくらいの眼力で息子を見据えました。「いいかいぼっちゃん……「っすね」とか「自分は」とか、その謎の野球部敬語、タメ口より失礼だということ胸に刻め!!」。
そして「面接は最初のノックの音で決まる」「前置きはいらない、聞かれたことに答えなさい」「ペラペラしゃべるな。ペラペラしゃべるやつは全員詐欺師」などサンマーク出版の企画会議を彩りそうなフレーズを息子にツラツラと語りますが、この川崎のイネス、自分は大学時代一個も内定もらったことがない。
もはやホラーです。就職活動のしゅの字もわからないやつが全てを知ってるように息子に面接を語っているのです。それを「親が子に教えることは全て真実」というツラでやっている。そして子どもは「この人言うて一個も内定もらったことない(故に今よくわからない仕事をしている)」ということをうっすら知っている。何このスーパー茶番。私は親というものの傲慢さをこんなところで思い知らされました。
長男は小学校から高校までずっと野球部に所属していましたが、おそらく彼にとって幸せだったのは怒鳴り散らす系の監督にぶち当たったこともなく、理不尽強要系の先輩後輩関係を経験することもなく、ただただ全身ドロドロになるまで楽しく野球を続けられたことだったのだと思います。時々「なんか意味わからんことで怒られたり、先輩から謎命令されたりとかはない?」と聞くと「今そんな時代じゃないよ」と笑っていました。
ただ野球部敬語だけは骨の髄まで染み付いているようです。野球部敬語はそれくらい便利なものなのでしょう。世間一般からしたら文法的に正しくないことでも、野球部界隈においては、それは相手に対する最大の尊敬を示す「記号」となる。なんなら一人称「私」より「自分」のほうが強い謙遜を示してくれる。一般社会の敬語感覚と剥離があればあるほど、野球部内での結束を固める魔法の言語となるわけです。
ティモンディ高岸がよく母校である済美高校の挨拶をネタにしますが、「ハイ」は「アィィヤァ」、「おはようございます」が「オヨヨドォース」、ほぼほぼ一般人には聞き取れない。たとえば監督に呼ばれた時、それがいかに文法的に、社会通念的に正しいからといって「ハイ」と答えてはいけない。済美高校野球部においては「アィィヤァ」が正解だからです。
こういうことは、別に野球部に限らず、なんなら体育会系に限らず、ある程度閉鎖的な場所に人間が数人集まっていたら起こりうる現象なのだと思います。問題は、その閉鎖的な空間での常識を、その空間から出たときに修正できるのかどうか。あのルールが「おかしかった」ことに気付けるか。
阿部慎之助元巨人軍監督の逮捕というニュースは非常に衝撃的でした。